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長春日本人教師会

長春にて日本語講師をしている日本人教師による勉強会や活動予定、活動報告などを記載していくブログです。 長春日本人教師会のホームページ→http://www.geocities.jp/changchun_jpt/index.html

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第108回 勉強会報告

以下の内容で勉強会を行いました。

1.司会挨拶、参加者自己紹介

2. 家田修先生(長春理工大学)
タイトル:文学教材『すみれ』の一つの読み方
 まずは、長春理工大学における精読授業について、ご説明いただいた。1.2年精読は中国人が担当、3.4年生精読は日本人が担当している。

教科書は『日语精读』(宿久高周导夫主编)を使用している。
配当時間は45分2コマ×4(ただし、毎時慣用句学習を入れている)
授業は、新出語彙→本文読み→文法→読解→内容のまとめ→教科書練習問題という流れで行っている。

 今回の教材は『日语精读第三册』第21課「すみれ」(辻邦夫『花のレクイエム』から)を使用。

 文学を教材として使用する場合に家田先生が注意されているところは、文学的表現、言葉の豊かさ(特に形容詞・形容動詞、動詞、名詞、副詞等)や言葉のつなぎ(特に、接続詞、接続語、助動詞、助詞等) 、豊かなイメージをどう捉えるのか、例えば、クライマックスとは、一番大きな主人公の心理的変化が行動によって示された場面であり、これをどう捉えるのか、といったところであると、ご説明いただいた。

 物語の構成、特に冒頭分はとても大切な部分であり、「すみれ」の構成は時間によって展開しているとご説明いただいた。(作品によっては、場面(場の移動、人物の登・退場、大状況の変化等)や、主人公心理変化等から始まるものもあるとのこと。)

 次に、登場人物の把握と状況把握を、①時、②所、③人物の置かれた状況、性格等などから読み取りを行った。そして、展開部での起こった出来事をまとめた上で、一つ一つの文からわかること(主人公の心理や伏線等)を、本文を読みながら確認していった。

<質問>
Q1.日本語学習者に伏線や背景、人物の感情などを気づかせる為に行っている事は何か。
A1.要所要所で、学生に質問を投げかけて、考えさせるようにしている。例えば、「アキのお母さんについては、何かありますか?」と問いかけると、学生自身が読み返し「あれ?書いてない!?」と気付くので、「じゃぁ、お母さんはどうしたのかな?」と再び問いかけて、学生に考えさせる。


Q2.今回の作品を終わらせるのに何回くらい授業を使っているか。
A1.大体3回くらい。新出単語の導入、人物の把握、背景などをやっていると、どうしても90分(45分×2コマ)を3回くらいになる。


3. 及川琢英先生(吉林大学)
タイトル:「『満洲国』期における日本語教育」

 発表では、
1)「満州国」とは何か
2)「満州国」の日本語教育方針
3)教員と学習者
というように3つの部分に分けて、説明していただいた。

 「満州国」とは何かということに関しては、
当時の日本の軍事力を背景とした傀儡国家であり、来るべき戦争のために資源供給地とする目的があった。なぜ、傀儡国家という形式をとったかというと、第一次世界大戦後の植民地不拡大という世界的な流れや、日本は中国の領土保全を認めた条約を結んでいたことが挙げられる、と説明いただいた。

 次に、「満州国」の日本語教育方針については、
「満州国」公文書における日本の地位を確認した上で、日本語の地位の確認を行った。日本の地位も日本語の地位も当初は平行、並列のような関係であったが、次第に上下関係が明確になり、日本語は第一の国語として設定されたということを、資料を基にお示しいただいた。
 また、当時の初等、中等、高等教育における教育方針を概観し、当時は日本語での直接法による日本精神の伝播を図っていたことを確認した。当時の日本語の授業数は年齢が上がるに従い、日本語の授業数も多くなっていたことがわかった。

 最後に、「満州国」の教員と学習者についてでは、


日本人教師の数の割合は全体としては少ないという状況から直接法の実施は困難であった。そこで、速成法という教授法が登場したものの、政府は直接法での教授に固執していたとの事だった。

 当時の日本人教師についての評価はプラスの評価とマイナスの評価がそれぞれ存在していた。「満州国」の教育に対抗する存在として、中国人愛国的教師の存在があった。

<質問>
Q1.当時の大学教育でも、日本語が必要だったのか。
A1.授業が全部日本語だったので必要だった。そもそも、日本語が大学受験に必要だった。軍事学校なども、同様に日本語が必要だった。

Q2.昔の長春大学とか理工大学には、当時は大きなトウジョウ(工場?飛行場?)が有ったのか。
A2.実業関係の面と帝国大学という事を考えると、有ったと考えられるが、分からない。

Q3.では、日本語を勉強していないと大学教育を受ける事が出来ないのか。
A3.はい。大学に行く人自体も少なかったが、初等教育の時から日本語教育が始まり、上の教育機関に行くには、相当日本語が出来ないと進学できなかった。

Q4.偽満州皇宮に行くと分かるが、管理職、公務員になると、日本語で文書を作ったり、やり取りしたりするので、日本語の能力はとても必要だったのだろうか。
A4.はい。36~7年以降、日本語検定試験という資格が有り、この資格がないと公務員になれないと言う状態だった。

Q5.当時の公務員は、日系、中国系、モンゴル系で割合が多かったのはどれか。
A5.具体的な割合は分からないが、日系は半分もいなかったので、日系以外が多い。やはり、農村や地方には、日本人が居なかったので…。

Q6.現在の日中関係の報道を学生がどう受け止めているのか、日本語講師としてどうすべきなのか、と考える事が多い。以前の職場と比べると、学生の親戚が満州国時代に日本語を勉強していたり、通訳をしていたから日本語を勉強しようと思った学生もいるようだ。歴史面、政治面など大きな揺れがあるが、私たち日本語講師個人としては、しっかり授業をし、学生と交流を持って行くしかないのだろうか。
A6.(家田先生)きちんと、「民間と国家は違う」と認識することが大事。私たち日本語講師が国家になる事はないのだから…。


(及川先生)満州時代、特に満州国崩壊の時に、現地の人と上手く交流を取れていた人々は、殺されずに逃がしてもらったと言う事もあったので、個人的な関係というのは「危機的な状態」になった時に意味が出てくるのだと思う。


(家田先生)そういう風に生き残れた日本人は沢山いるけれど、だからと言って「日本は過去に中国に対して酷い事はしていない!」と思いこんで勘違いしてしまうような日本人になってはいけない。

4.事務局連絡、参加費徴収など

参加人数:21人

以上

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2014年第一回 長春街歩きのお知らせ


2014年第1回長春街歩きを下記の日程で行いますので、
多くの皆様のご参加をお待ちしております。

・記

実施日: 6月28日(土)雨天中止
集合場所:軽軌鉄道3号線「長春站」の東、マクドナルドの前付近
集合時間:午後2時00分(所要時間:2時間ほど)
費  用:特になし。ただし移動の交通費は各自負担
その他:歩きやすい服装でお願いします。街中ですので、
      
水などはどこでも買うことができます。

コース:今回の長春街歩きのテーマは、旧満鉄租界地の周辺施設です。
 ①旧「ヤマトホテル」(ロビー入場見学予定
 
旧「横浜正金銀行」(外から見学)
 
旧「記念公会堂」(外から見学)
 
旧「南広場放送局」(外から見学)
 
旧「満鉄病院」(外から見学)
 
旧西本願寺「太子堂」(外から見学)
 
中央郵便局(外から見学)
 
旧「満鉄図書館」(外から見学)
 
旧「新京神社」(外から見学)
 
旧「八島通水塔」(外から見学)
 
旧「西広場給水塔」(外から見学)
 
旧「満鉄社員倶楽部」(外から見学)
 
旧「満鉄交社」(外から見学)

長春駅の南を歩きます。歩くコース等は当日変更のある場合もあります。
説明は、吉林大学の及川先生にしていただく予定です。

*教師会の懇親会は、同じ28()16:30から
 
「一番ラーメン」で予定しております。
 
詳しくは当日お知らせいたします。こちらへのご参加も
 
よろしくお願いします。

以上

第108回 勉強会お知らせ


下記の予定で勉強会を行いますので、皆様
お誘いあわせの上、お気軽にお越しください。



・第108回長春日本人教師会主催日本語教育勉強会

内 容:「文学教材『すみれ』の一つの読み方」
     
「『満洲国』期における日本語教育」
日 時:621日(土)9:30-11:30
場 所:東北師範大学外国専家公寓 6階会議室
住 所:长庆 与 西康胡同 交汇处 (長慶路と西康胡同の交差点)
     
最寄りのバス停は「桂林路」駅です。星广周辺などで
     乗ることのできる315路のバスが便利です。


同志街、西康胡同の交差点から歩いて5分くらいのところです。
費 用:5元(会議室費)

《発表者のテーマと一言》

・家田修先生(長春理工大学)
タイトル:文学教材『すみれ』の一つの読み方
 
精読の授業で文学教材をどう扱えばいいのでしょうか。
発音、朗読、語彙や文法を行うのはもちろんですが、
文学教材の持っている内容を、どう分析していけば
いいのでしょうか。
 
そして、それをどう学生に読解として指導していけば
いいのでしょうか。
 
私自身の悩みも含め、みなさまとご一緒に、文学教材の
読みを具体的に考えてみたいと思います。

・及川琢英先生(吉林大学)
タイトル:「『満洲国』期における日本語教育」
1932年、日本の軍事力を背景に、傀儡国家「満洲国」が
つくられ、長春は「首都」となりました。
現在の長春に
おいてもその爪跡をうかがうことができます。
「満洲国」の歴史は各方面に大きな影響を与えました。
では同時期の日本語教育はどのようなものであったのでしょうか。
 
政府当局、教師、学習者の3つの観点から考えてみたい
と思います。

また、勉強会の後に昼食会も予定されております。

・昼食会
日 時:同日 120014:00
場 所:東北師範大学専家公寓 2階レストラン
費 用:30元前後
昼食会のみの参加も可能

事前予約は必要ありません。
当日場所が分からない場合は、事務局までご連絡ください。

以上

第107回勉強会報告

 以下の内容で勉強会を行いました。

1.司会挨拶、参加者自己紹介

2.藤間貴子先生
(独立行政法人日本学生支援機構 大阪日本語教育センター)
OJLEC日本語スタンダードの活用について」

 OJLECとは大阪日本語教育センターの略称であり、
まず初めに、その設立の歴史、日本語教育機関の変化、
中国との関係などについて、1950年代から現在までの
日本語教育の流れを概観しながらご紹介いただいた。

 次に、大阪日本語教育センターが日本語スタンダードを
作成することになったきっかけについてお話しいただいた。
世界の流れとしてはヨーロッパ言語共通参照枠が
1996
年に発表され、2001年に正式に公開され、
複言語主義に基づくヨーロッパの外国語学習、
評価などに使われていること、
日本の教育機関では、
東京外国語大学留学生日本語教育センター
JLC日本語スタンダーズ」(2006年~)
国際交流基金「JF日本語教育スタンダード2010
大阪大学の取り組み、国士舘大学「外国語ポートフォリオ」
などがあり、言語学習と評価の共通の枠組み作成が
ヨーロッパや日本で広がっていることをお示しいただいた。

 これらを踏まえて、大阪日本語教育センターが
2010
年から取り組み始めた「OJLEC日本語スタンダード」と
Can Do
の作成、さらに教科書『留学生のための日本語初級』の
刊行についてお話しいただいた。
特にCan Do(~ができる)という形の能力記述尺度を
利用して、教師と学習者自身にチェックシートに評価を
記入してもらうことで、
どの項目に対し、学習者の自己評価が低いのか、
教師・学習者間の評価のずれがあるのかなどが
分析できるようになり、問題意識が明確になったり、
授業活動にバリエーションが増えたり、補足すべき教授内容や
教材が見えてきたといった利点が挙げられた。
これと同時に、初級・中級を通して教科書の分析がなされ、
授業タスクを追加した教科書改訂が行われ、
現在に至っていることをお話しいただいた。

 藤間先生のお話しから、教育スタンダードを作成し、
それにそって客観的評価を行うといった作業を繰り返すことで、
学習者と教師、教育機関の求めるもの、不足している部分が
捉えやすくなり、教育向上が図りやすくなることを学んだ。

3.藤崎泰典先生
(独立行政法人日本学生支援機構 東京日本語教育センター)
「通訳訓練の日本語教育への応用実践」


発表では、
1)通訳の種類、2)通訳のスタイル、
3)通訳トレーニング法、4)通訳を使った言語学習活動
に分けて、説明していただいた。


通訳の種類に関しては、
1)会議通訳、2)放送通訳、3)ビジネス通訳、
4)司法通訳、5)通訳ガイド
などがあることを、それぞれの特徴、
難しさとともに教えていただいた。

 通訳の際に気を付けることとしては、
1)ペンは使い慣れたものを2本準備すること、
2)事前にスピーカーと話す機会を持つこと、
3)スピーチ原稿を早めにもらうこと、
4)時にスピーカーの話を割って通訳を行う勇気を持つこと、
5)チームで通訳する場合は数字やリストなどの情報を
  手渡すなどの助け合いが有効であること
などの実践的なノウハウについても教えていただいた。


通訳のスタイルに関しては、
1)同時通訳、2)ウィスパリング、
3)逐次通訳、4)サイト通訳
があること、

 それらの技術を身に付つける通訳トレーニングとして、
1)シャドーイング、
2)リテンション・レペティション、
3)クイック・トランスレーション、
4)パラフレージング
などの方法があり、
日本語学習に応用できるお話を聞かせていただいた。


シャドーイングは初級以上の学習者に利用でき、
音声を聞きながら追いかけるように発話するシャドーイングは、
イントネーションやピッチを自然にするのに効果的であり、
また、音声を聞いた3秒ほど後で発話するシャドーイングは、
まとまりのある文を構築する文法力も必要になるため、
話しているのと近い状況になる訓練であることを教わった。
  
 リテンション・レペティションは、一文全部を聞いてから
リピートする方法であるが、初級以上の学習者に利用でき、
これをメモを取りながら行えば、大学の講義を受けている間に
ノートを取るのと同じような訓練にもなることを教わった。

 また、クイック・トランスレーションは、単語を聞いて
すぐ通訳する方法であるが、中級・上級以上の段階で
専門的な語彙を即座に母語あるいは目標言語に
変換するような語彙練習に利用できることを教わった。
 
 パラフレージングでは、文章の要旨をまとめる訓練であるが、
中級・上級以上の段階で利用でき、口頭で一気に
内容をまとめたり、アウトラインをヒントに
内容をまとめたり、質問に答える形で
内容をまとめたりなど、中級以上の精読授業で
発話機会が少なくなる際の、ペアや独話で発話を促進させることに
利用できることを教わった。



後半は、上記の方法について、実際に参加者も
各種シャドーイングを体験してみたり、
シャドーイングをしながら数字を1,2,3,4,5…と書くなどの
マルチタスク練習を行ってみたり、文章の内容を、
ペアで相手の質問に応答しながら口頭で
まとめる作業を行ってみたりと、
訓練の一部を実際に行いながら、通訳技能について楽しく学んだ。

4.事務局連絡など

参加者:28


第107回 勉強会お知らせ


下記の内容で、勉強会を行います。
皆様お誘いあわせの上、お気軽にお越しください。

        記

・ 第107回長春日本人教師会主催日本語教育勉強会

内 容: 『OJLEC日本語スタンダードの活用』
      『通訳訓練の日本語教育への応用実践』
日 時: 524日(土)9:30-11:30
場 所: 東北師範大学外国専家公寓 6階会議室
住 所: 长庆街 与 西康胡同 交汇处 
      
(長慶路と西康胡同の交差点)
最寄りのバス停は「桂林路」駅です。
星广周辺などで乗ることのできる315路のバスが便利です。
同志街、西康胡同の交差点から歩いて5分くらいのところです。

費 用: 5元(会議室費)

発表者のテーマと一言

・藤間貴子先生
 (独立行政法人 日本学生支援機構 大阪日本語教育センター)
OJLEC日本語スタンダードの活用』
<発表者からの一言>
 日本学生支援機構大阪日本語教育センターでは、
CEFRや「JF日本語教育スタンダード」、東京外大の
JLC日本語スタンダーズ」を参考に、2010年度末に
OJLEC日本語スタンダード」の素案と初級教科書の
Can Do Statement素案を作成し、2011年度に全体での
検討と試用を開始、さらに検討を加えて、2011年度末に
完成しました。
 
現在は「OJLEC日本語スタンダード」をもとにチェックシートを
作成し、学生と担任のフィードバックに役立てています。
日本語スタンダード作成の経緯とその活用の仕方について
ご紹介したいと思います。

・藤崎泰典先生
 (独立行政法人 日本学生支援機構 東京日本語教育センター)
『通訳訓練の日本語教育への応用実践』
<発表者からの一言>
 
文法は勉強したけど、なかなか使えるようになれない、
話し相手になってくれる日本人もいないし、
そもそも自分は無口な方だし…色々な理由から、
中級のスパイラルを抜け出せないでいる学習者も
多いのではないでしょうか。そんな学習者に
利用していただきたいのが通訳養成の際に用いられる
様々なトレーニングです。今回は、様々なトレーニング方法の
中から、海外で15年を過ごした発表者が役立つものを厳選して、
体験していただきたいと思います。また、通訳スキルを利用した
クラス活動の紹介もしたいと思います。

また、勉強会の後に昼食会も予定されております。

・ 昼食会
日 時: 同日 120014:00
場 所: 東北師範大学専家公寓 2階レストラン
費 用:  30元前後
昼食会のみの参加も可能

事前予約は必要ありません。
当日場所が分からない場合は、事務局までご連絡ください。

※長春日本人教師会は会員の皆様へプロジェクターの
 貸し出しを行っております。

 ご希望の方は事務局までご連絡くださいませ。

以上

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