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長春日本人教師会

長春にて日本語講師をしている日本人教師による勉強会や活動予定、活動報告などを記載していくブログです。 長春日本人教師会のホームページ→http://www.geocities.jp/changchun_jpt/index.html

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第107回勉強会報告

 以下の内容で勉強会を行いました。

1.司会挨拶、参加者自己紹介

2.藤間貴子先生
(独立行政法人日本学生支援機構 大阪日本語教育センター)
OJLEC日本語スタンダードの活用について」

 OJLECとは大阪日本語教育センターの略称であり、
まず初めに、その設立の歴史、日本語教育機関の変化、
中国との関係などについて、1950年代から現在までの
日本語教育の流れを概観しながらご紹介いただいた。

 次に、大阪日本語教育センターが日本語スタンダードを
作成することになったきっかけについてお話しいただいた。
世界の流れとしてはヨーロッパ言語共通参照枠が
1996
年に発表され、2001年に正式に公開され、
複言語主義に基づくヨーロッパの外国語学習、
評価などに使われていること、
日本の教育機関では、
東京外国語大学留学生日本語教育センター
JLC日本語スタンダーズ」(2006年~)
国際交流基金「JF日本語教育スタンダード2010
大阪大学の取り組み、国士舘大学「外国語ポートフォリオ」
などがあり、言語学習と評価の共通の枠組み作成が
ヨーロッパや日本で広がっていることをお示しいただいた。

 これらを踏まえて、大阪日本語教育センターが
2010
年から取り組み始めた「OJLEC日本語スタンダード」と
Can Do
の作成、さらに教科書『留学生のための日本語初級』の
刊行についてお話しいただいた。
特にCan Do(~ができる)という形の能力記述尺度を
利用して、教師と学習者自身にチェックシートに評価を
記入してもらうことで、
どの項目に対し、学習者の自己評価が低いのか、
教師・学習者間の評価のずれがあるのかなどが
分析できるようになり、問題意識が明確になったり、
授業活動にバリエーションが増えたり、補足すべき教授内容や
教材が見えてきたといった利点が挙げられた。
これと同時に、初級・中級を通して教科書の分析がなされ、
授業タスクを追加した教科書改訂が行われ、
現在に至っていることをお話しいただいた。

 藤間先生のお話しから、教育スタンダードを作成し、
それにそって客観的評価を行うといった作業を繰り返すことで、
学習者と教師、教育機関の求めるもの、不足している部分が
捉えやすくなり、教育向上が図りやすくなることを学んだ。

3.藤崎泰典先生
(独立行政法人日本学生支援機構 東京日本語教育センター)
「通訳訓練の日本語教育への応用実践」


発表では、
1)通訳の種類、2)通訳のスタイル、
3)通訳トレーニング法、4)通訳を使った言語学習活動
に分けて、説明していただいた。


通訳の種類に関しては、
1)会議通訳、2)放送通訳、3)ビジネス通訳、
4)司法通訳、5)通訳ガイド
などがあることを、それぞれの特徴、
難しさとともに教えていただいた。

 通訳の際に気を付けることとしては、
1)ペンは使い慣れたものを2本準備すること、
2)事前にスピーカーと話す機会を持つこと、
3)スピーチ原稿を早めにもらうこと、
4)時にスピーカーの話を割って通訳を行う勇気を持つこと、
5)チームで通訳する場合は数字やリストなどの情報を
  手渡すなどの助け合いが有効であること
などの実践的なノウハウについても教えていただいた。


通訳のスタイルに関しては、
1)同時通訳、2)ウィスパリング、
3)逐次通訳、4)サイト通訳
があること、

 それらの技術を身に付つける通訳トレーニングとして、
1)シャドーイング、
2)リテンション・レペティション、
3)クイック・トランスレーション、
4)パラフレージング
などの方法があり、
日本語学習に応用できるお話を聞かせていただいた。


シャドーイングは初級以上の学習者に利用でき、
音声を聞きながら追いかけるように発話するシャドーイングは、
イントネーションやピッチを自然にするのに効果的であり、
また、音声を聞いた3秒ほど後で発話するシャドーイングは、
まとまりのある文を構築する文法力も必要になるため、
話しているのと近い状況になる訓練であることを教わった。
  
 リテンション・レペティションは、一文全部を聞いてから
リピートする方法であるが、初級以上の学習者に利用でき、
これをメモを取りながら行えば、大学の講義を受けている間に
ノートを取るのと同じような訓練にもなることを教わった。

 また、クイック・トランスレーションは、単語を聞いて
すぐ通訳する方法であるが、中級・上級以上の段階で
専門的な語彙を即座に母語あるいは目標言語に
変換するような語彙練習に利用できることを教わった。
 
 パラフレージングでは、文章の要旨をまとめる訓練であるが、
中級・上級以上の段階で利用でき、口頭で一気に
内容をまとめたり、アウトラインをヒントに
内容をまとめたり、質問に答える形で
内容をまとめたりなど、中級以上の精読授業で
発話機会が少なくなる際の、ペアや独話で発話を促進させることに
利用できることを教わった。



後半は、上記の方法について、実際に参加者も
各種シャドーイングを体験してみたり、
シャドーイングをしながら数字を1,2,3,4,5…と書くなどの
マルチタスク練習を行ってみたり、文章の内容を、
ペアで相手の質問に応答しながら口頭で
まとめる作業を行ってみたりと、
訓練の一部を実際に行いながら、通訳技能について楽しく学んだ。

4.事務局連絡など

参加者:28


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