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長春日本人教師会

長春にて日本語講師をしている日本人教師による勉強会や活動予定、活動報告などを記載していくブログです。 長春日本人教師会のホームページ→http://www.geocities.jp/changchun_jpt/index.html

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111回 勉強会お知らせ

下記の予定で勉強会を行いますので、
皆様お誘いあわせの上、お気軽にお越しください。


・長春日本人教師会主催 第111回日本語教育勉強会


内  容:「日本語コーナーの取り組みについて
         -私たちにできる文化交流活動とは?-」
日  時: 11月15日(土)9:30-11:45
場  所: 東北師範大学専家公寓 6階会議室
住  所: 长庆路 与 西康胡同 交汇处
     (長慶路と西康胡同の交差点)
アクセス: バス停「桂林路」駅より徒歩5分。
  卫星广场周辺などで乗ることができる315路のバスが便利です。
費  用: 会議室費5元
 ※今学期分の会費納入がお済みでない方は、
  30元納入をお願いいたします。


発  表: 田畑 美恵先生(長春大学) 
「試行錯誤の日本語クラブ」


今学期でやっと13回を数えた長春大学日本語クラブですが、毎回トラブルが発生し、運営は「労多くして功少なし」という状況です。皆様の実践報告とアドバイスを参考にさせていただき、とにかく継続を目指していきたいと思っています。


発  表: 福井 啓子先生(長春工業大学) 
「日本語コーナーの独り立ちを目指して」 


長春工業大学に日本語コーナーが発足して一年、長春大学・理工大学の先生方をはじめ、多くの方に応援していただいて、ようやく学生の意識の中にこの活動が定着してきました。しかし、まだまだよちよち歩きで目が離せません。今回はこの一年間の活動を簡単に報告させていただきます。


ワークショップ:「-私たちにできる文化交流活動とは?-」
司会・進行: 池田 裕一(吉林華橋外国語学院)


上記の先生方の発表を参考に、グループで文化交流活動についての意見交換を行います。教師個人でできる活動から、学校の枠を超えた活動まで、文化交流活動の今後の可能性を、皆様とご一緒に考えたいと思います。


『昼食会』


日  時: 同日 12:00‐14:00
場  所: 東北師範大学専家公寓 2階レストラン
費  用: 30元前後
予約は不要です。
昼食会のみの参加も歓迎いたします。


当日場所がわからない場合は、事務局までご連絡ください。


以上

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第110回 勉強会報告

以下の内容で勉強会を行いました。


1、司会挨拶、参加者自己紹介


2、稲垣睦実先生(長春理工大学)
「中級者への精読の授業の流れについて」


 稲垣先生が初めて担当される大学3年生への精読授業の現状についてご発表いただいた。


担当クラスと教材


担当学年:3年生(一クラス20人×2クラス)
・週3回精読の授業がある。
・一つのクラスは予習の習慣があり、もう一つのクラスは予習の習慣がない。


使用教材:
1、「日語精読 第2冊目」(外語教学与研究出版社)
・単語は1ページに35個ほどありそれが4~6ページほどあるので、一つの課の単語数は合計140~210個ほどある。
2、文法プリント


≪精読授業の流れ、単語確認≫
1、単語を読ませ、発音確認
2、教師が主導し単語のリピート
3、生徒が主導し単語のリピート
4、単語の意味確認
(意味、使い方、類義語との比較、プラス・マイナスの意味、漢字が中国語と同じであるが中国語と日本語の意味が違うものの説明 EX:交流)


≪精読授業の流れ、本文と文法≫
1、ひと段落ごとに生徒に音読させる。その際、発音、イントネーション、区切りなどを指導。
2、本文での言葉の意味、指示語を確認しながら、内容を深く確認していく。
3、新出文法が出て来たら、新出文法を教科書の文法解説と副教材のプリントを使い説明する。 そして、例文を作らせる。
4、2と3を繰り返す。


≪宿題、文法と本文≫
文法の例文を作らせ、提出させる。


≪精読授業の流れ、練習問題≫
1、文法プリントを使い、第1問だけなど区切りのいいところまでの文法説明をする。
2、教科書の文法問題を解く。その際、文法の意味を確認はするが、文法説明はしない。
3、1と2を繰り返し、問題を最後まで行う。


≪宿題、練習問題≫
内容を要約させ、提出させる。そして、本文の範囲を決め、暗記させる。後日、暗唱テストを行う。


 ※以下質疑応答

Q1:単語について、精読授業でほかにするべきタスクや練習などはあるか。


A1:私のクラスでは、単語は音声データを渡して自習させ、授業時にテストをする。その他、共起表現など、授業中に確認する必要のあることは授業中にやるが、基本的に授業中に単語の勉強はやらない。


A2:ディクテーションは有効なのでやったほうがいい。


A3:Ipadなどの電子機器を使いフラッシュカードを作成すればいいのではないか。
 →中国の教室ではチョークを使用することが多いため、Ipadが汚れやすいので、使用に適さない。


Q2:授業中に即席で例文を作らせたほうがいいのか。


A1:文や写真などで状況を与え、それに応じた例文を作らせるのはとても有効。


Q3:文法を使った例文作文の宿題を確認している際、生徒の動詞の活用に間違いがある。その際には、活用を直すべきか。また、単語を説明している際に用法も抑えておくべきか。


A1:精読の授業で活用を間違っていたのなら直す必要がある。その際、すぐに教師から答えを言わずに、「えっ?」など疑問を表すだけにして、学生自らが気づくようにすると良い。


A2:その授業・タスクの目的にもよる。発話が目的の場合は、直しすぎると発話のテンポを殺してしまうが、正確性が目的の場合はきっちり直さなければならない。


A3:授業の目的をまずはっきりさせる必要がある。また、他の授業との兼ね合いも大切。それができていないと学生の時間を浪費することになる。
 →授業間のアーティキュレーションが大切ということ。


A4:昔は正確性が重視されたが、その後、発話が重視されるようになった。しかし、発話を重視しすぎると正確性が育たないことが分かったので、今は形式に注意しつつ発話も大切にするというフォーカスオンフォームズ(focus on forms)が、重視されるようになった。


Q4:発音・イントネーションを確認する際、軽い説明でいいのか、それともある程度時間を取って指導するべきか。


A1:予習として、文章の音声を聞いて来させる。そうすると、授業中に学生が発音を間違えても、「え?」などの疑問を教師が提示するだけで、学生自らに発音の間違いに気づかせ自発的に訂正させることができる。もし、その学生が気づかなくても周りの学生がフォローできる。教師が発音を訂正する場合は、まず、口頭で行う。それがだめだったら、次に黒板で行う。その際はあまり追求しすぎないことが大切。また、プロジェクターでPPTに書いた文を写し、マウスポインターを使ってアクセントやイントネーションを書き発音を訂正するという方法もいい。学生は自分の発音がわかるので満足感がある。


Q5:文法説明の際、文法解説からの例文づくりという流れではどこか味気ない気がする。もう少し何かをしたほうがいいと思うが、何をしたらいいかわからない。


A1:インターネットでコーパスを利用するなどして実用的な例文を作らせると学生が喜ぶ。


・池田裕一先生(吉林華橋外国語学院)
「上級クラスにおける文法指導の一試案」


N1やN2レベルの文型を効率的に習得させるにはどうすればいいのか。池田先生が普段授業で実践している方法をご紹介していただいた。


1、学生に「授業での困難点」というアンケート調査を行った。その結果、文法に関して苦手意識を持っている学生が多いことがわかった。


日時:2014年10月15日(水)
内容:学生による教師評価
方法:自由回答式
対象:吉林華橋外国語学院 日本語学部 3年生 26名
結果:(左から順に、順位、項目、回答数)
1位、文法、18人
2位、文章理解、8人
3位、教師の発話、7人
4位、単語学習、6人
5位、授業進度、6人
6位、副詞、4人


2、学生の文法に関するコメント 
・自分が表現したいことが正しく表現できない
・類似文型が多すぎて、どれを使えばいいかわからない
・意味は理解できても、例文を作ると必ず間違えてしまう
・文法の意味がはっきりわからない
・文法説明が日本語だからわかりにくい


3、学生の誤用例  -意味用法の理解不足-
○ 運動かたがた、(  公園に行く  )ことを日課としている。
×  運動かたがた、(  散歩の  )ことを日課としている。 
(助詞の間違い)
×  運動かたがた、(  宿題する  )ことを日課としている。
(文法の間違い)
4、文型の導入・指導試案(Vかねない) 


①場面・状況の提示:学生に問いかけながら、導入文を引き出す。
例)
場面:会社
状況:顔色が悪い男性社員を見て、噂話をする女性社員
例文:『疲れすぎていて、鈴木さんは倒れかねない。』
   


②意味・接続の確認:基本事項を簡単に確認する。
例)
例文: 『疲れすぎていて、鈴木さんは倒れかねない。』
意味: 良くない事態が起こる可能性がある (Vするかもしれない)
接続: 倒れ(ます) + かねない 

③理解の確認:学生への問いかけにより、学生の理解度を測る。
T: 窓を開けたまま寝たら・・・?  
S: 風邪をひきかねない。
T: いつもたくさんお金を使っていると・・・? 
S: お金がなくなりかねない。
T: お酒を飲んで酔っ払うと・・・?  
S: 問題を起こしかねない。

④制約の確認:間違った例文を提示することで学生に文型の制約を理解させる。
◎ 台風が来ているから、明日は雨が降りかねない。
◎ 明日は雨が降るかもしれない。
×    台風が過ぎれば、天気が良くなりかねない。
◎ 天気が良くなるかもしれない。
◎   勉強すると、成績が悪くなりかねない。


◎ 宿題を出さなかったら、先生に怒られかねない。
◎ 働きすぎると、体調を崩しかねない。
×    日本語を使わなかったら、上達しかねない。


⑤注意点の確認:誤用を犯しやすいポイントを提示して注意を喚起する。
・お酒を飲んで、車を運転したら、事故を ( 起こし / 起こり ) かねない。
(自他動詞)
・しっかり勉強しないと、試験に ( 合格し / 不合格し ) かねない。
(文法の制約)


⑥運用練習:自由度の低いタスクから、自由度の高いタスクへ段階を踏ませる。
接続: 朝寝坊したら、授業に_____かねない。
動詞: 鍵を開けたまま外出したら、泥棒が_____。
語彙: 試験でいい成績を取らないと、_______。
応用: _________たら、お腹を壊しかねない。
応用: ________と、__________。


 各文に注意点を記すことで、作業前に学生の注意を喚起できる。また、誤用を犯したとしても、原因の究明が容易である。


5、今後の課題
類似文型をどの程度まで提示するか。
ニュアンスの違いをどこまで説明するか。
文法の運用能力をどうやって高めるか。


6、授業に使える便利なイラストサイト
日本語教育のためのイラスト教材   http://skrykk.blog.fc2.com/
Japanese Teaching ideas.com  http://www.japaneseteachingideas.com/
いらすとや   http://www.irasutoya.com/


 ※以下、コメント


C1:文型を提示する際、それの使用頻度やそれが話し言葉よりなのか書き言葉よりなのかや、使用されやすい場面・状況なども合わせて提示する必要がある。また、理解文型と使用文型もきちんと分けて教えたほうがいい。


C2:文型練習を教師が作るのは、三年生の学生に対して少し優しすぎるのではないか。また、段階を踏んで説明するのも少し優しすぎるように思う。


・渡辺雄二先生(長春理工大学)
「初級会話クラスの授業の進め方−効果的な指導法について−」


ゼロ初級の学生を対象とする会話授業で、実践できる活動を紹介していただいた。


1、初級会話クラスについて
 レベル:初級
 クラス人数:20名 2クラス
 教科書:「みんなの日本語」「日语精读」
 教室設備:プロジェクターがなく、移動できる机と椅子のあるシンプルな教室。


2、実践しているタスク


・五十音表を使った穴埋めクイズ。
手でランダムにひらがなを隠し、学生に答えさせる。

・「いろは唄」を使った、五十音の発音練習。
・基本的なあいさつの導入。


・ひらがなの練習
清音➔濁音➔促音➔長音➔拗音というように、簡単なものから複雑なものへと順をおって練習させる。また、日常で使う意味のある語句を使い練習する。


例)「あ行」から「さ行」:「あお」「えき」「かさ」「すし」など


 ・促音の練習
下記のようにミニマルペアを使い練習する。
「ぶか/ぶっか」「かさい/かっさい」「おと/おっと」「ひやく/ひゃく」「じゆう/じゅう」「びよういん/びょういん」「おもちや/おもちゃ」また、「ふっけん」「せっこう」「ちょうしゅん」「しゃんはい」などのような、学生の出身地の地名を優先的に練習する。


・単語の並び替えクイズ
「り」「に」「お」「ぎ」→「おにぎり」


・単語の十字穴埋めクイズ
    さ         み
  あ ? び     か ? い
    ら         い

・一見、ランダムで無意味に見えるひらがなの集合体の中から意味のある単語を発見するクイズ
     

・ビンゴゲーム(数字の練習)


  ※以下、質疑応答


Q1:初級授業で有効なタスクを紹介していただけませんか。


A1:①全体でミニマルペアの二択クイズ。
   ②全体で再度練習。


A2:ディクテーションをした方が分かりやすくて良い。文字の癖を直すのにも効果がある。


A3:数字の3の倍数で順番に速く言わせる。


A4:PPTアニメーションを使ったひらがなの虫食いパズル。


A5: だんだんと難易度を上げていく数式ゲーム。
① 1  +  4
② 1  +  4  = ?
③ 13 +  4  = ?
④ 13 ×   4  = ? 


5、事務連絡、今後の予定、アンケート回収、会費の徴収など


以上

第110回 勉強会お知らせ


下記の予定で勉強会を行いますので、
皆様お誘いあわせの上、お気軽にお越しください。



・ 第110回長春日本人教師会主催日本語教育勉強会

内 容:「新任の先生方によるリレー発表」
日 時: 10月25日(土)9:30-11:30
場 所: 東北師範大学外国専家公寓 6階会議室
住 所: 长庆街与西康胡同交汇处(長慶路と西康胡同の交差点)
最寄りのバス停は「桂林路」駅です。
卫星广场周辺などで乗ることのできる315路のバスが便利です。
同志街、西康胡同の交差点から歩いて5分くらいのところです。

費 用: 会議室費5元
 ※今学期分の会費をお納めになっていない方は、
  30元の納入をよろしくお願いいたします。

発表者のテーマと一言

・稲垣睦実先生(長春理工大学)
タイトル:「中級者への精読の授業の流れについて」

<発表者からの一言>
初めて3年生の精読を担当しています。
前任者からいただいたアドバイスを参考に授業をやってはいるのですが、自分のやり方全てにおいて疑問点があります。そこで、皆様から様々なアドバイスをいただき、授業を改善したいと思います。
よろしくお願いいたします。

・池田裕一先生(吉林華橋外国語学院) 
タイトル:「上級クラスにおける文法指導の一試案」

<発表者からの一言>
N1やN2レベルの文型を効率的に習得させるにはどうすればいいのか。普段授業で実践している方法を簡単にご紹介します。
皆様のご意見やアドバイスをお聞かせください。

・渡辺雄二先生(長春理工大学) 
タイトル:
「初級会話クラスの授業の進め方-効果的な指導法について-」

<発表者からの一言>
ゼロレベルの初級学習者に対しての会話の授業でできる活動は限られたものだと考えられますが、今回の発表では、いくつかの活動を紹介した上で、先生方が普段行っている活動などを教えていただきたいと思います。

・ 昼食会
日 時: 同日 12:00~14:00
場 所: 東北師範大学専家公寓 2階レストラン
費 用: 30元前後
昼食会のみの参加も可能

事前予約は必要ありません。
当日場所が分からない場合は、事務局までご連絡ください。

以上


第109回 勉強会報告

以下の内容で勉強会を行いました。

1. 司会挨拶、参加者自己紹介

2. 平野宏子先生(吉林華橋外国語学院)
 「日本語と中国語の作文の書き方について」

 学習者が感じる日本語作文と中国語作文の差異をアンケートで調査し、日本人教師が作文指導の際に出くわすであろう様々な問題を提示された。

 中国の日本語教育現場において作文の授業は日本人教師が担当することが多いが、その際、日本人教師の中国語能力は問われないことがほとんどである。作文指導時に日本語教師の中国語知識が不足していると、学習者の誤用の原因が分からない、教師の説明が理解されにくいといったことが出てくる。このことから、作文授業は中国人教師が担当したほうがいいのではないかという意見もある。

 では、どういった点で日本人教師は作文指導に苦しんでいるのか、主な原因は以下の四点である。

1、体験談の細かな記述や具体例が少ない。
2、結論がみんな似ている。特に、社会問題に対しての解決策は、
 「政府がこうやったほうがいい。」と書くことが多い。
3、語彙、表現が仰々しい。
4、最後に「みんなで頑張ろう。」といった内容を書く。

 作文受講を通して、学習者自身も中国語での作文と日本語での作文は書き方が違うことを認識したようである。今回は学生に対する意識調査により、以下の大きく二つの点について言及がなされた。

 一つ目は、
日中の作文教育では書かなければいけない内容がそれぞれ違うこと。
 二つ目は、
日中の作文教育ではそれぞれの教師の指導のポイントが違うこと。
 
 アンケート調査は吉林華橋外国語学院の日本語専攻の3・4年生161名を対象に、37項目について回答してもらった。37項目の質問を日本語作文と中国語作文の場合に分けて聞き、学生が以下の差異・特徴を感じていることがわかった。

・中国語作文の主な特徴
 1、偉人の言葉を引用することが良しとされる。
 2、諺や美しい表現などを多様に使い、
   歴史的な大きな視点から書くことが求められる

・日本語作文の主な特徴
 1、具体的で読み手がわかりやすく書くことを良しとされている。
 2、事実を事実のまま書き、
   自分の正直な意見を書くことを求められている。

・日本語作文・中国語作文、主な共通の特徴
 1、個人的体験や感情をよく表すことが求められている。
 2、構成を考えたり簡潔に書くなどと いった読み手を
   意識することが求められている。

 また、インタビュー時に、中国の作文教育についても質問し以下の返答を得た。


 中国人学生は中学校と高校の語文の授業で作文を学ぶ。そして、大学入試前の3か月間は2日に1回作文の練習をすることもある。作文の指導法は教師が生徒に単語や表現を与え、それを用いて生徒が作文を書き、教師がそれを添削するというもの。また、教師は孔子など中国の偉人の言葉を積極的に教えているので、その影響が学生にも大きい。

 上記のような中国の作文教育が以下のように中国語作文に影響を与えている。

・日本語作文・中国語作文の差異

 1、日本語作文は具体的に書き、中国語作文は簡潔に書く。

 2、日本語作文では社会問題の解決策に対して具体的に書くが、
   中国語作文では具体的内容には触れない。

 3、日本語作文では面白い内容が良いとされるが、
   中国語作文で面白い内容を書くとリスクがある。
   (大学入試の評価基準の影響)

 4、中国語作文では美しいことを書くのが望まれる。
   そのため、偉人の言葉などをよく引用する。
   身近な人の言葉を書いても意味がない。
   また、中国の大学入試では偉人の言葉の引用に
   点数が配分されている。

 5、日本語作文では正直な意見を書いていいが、
   中国語作文では社会に対する不満など
   悪影響がある場合があるので書いてはいけない。

 6、日本語作文では、説得力を補うための具体例として
   例文や数字を使うが、
   中国語作文では「多くの人」などの曖昧な表現も許容される。

 7、中国語作文では、指導教師の考えに合うように書くか否かで、
   作文が評価されやすい。
 
 上記のように日本語と中国語での作文の違いが起こる原因について、ある学生は、日本では「人間関係、性格、心情」に気を配りながら書く事を求められ、中国では「祖国の賛賞」を求められるからだと、述べている。
 中国の作文教育では、常に大きなことを意識し、作文の結論を「みんなで頑張ろう」など、国や社会の為になる言葉で締めくくることが良しとされていることが分かった。

3、南條淳(長春工業大学)


 「グラフを用いた作文授業案についてのワークショップ」

 今回は、グラフを用いた作文授業案を考えるため、以下の用法で活動を行った。
 1、中国の日本語教育でグラフを作文授業に用いる意義を説明。
 2、四班に分かれてのワークショップ形式で、
   グラフを用いた効果的な作文指導案を考える。
 3、各班の作文指導案をポスターで発表する。
 4、各班の代表者が口頭で発表する。


 まず、最初に中国でなぜグラフを作文授業に用いる必要があるのかを「教育大綱」を引き合いにして説明を行った。
(昨年度の岩崎先生の発表を再掲、復習を行った。)


 中国には教育部が定めた日本語専攻大学生用の指導要領の
「教育大綱」というものがある。教育大綱では、主に以下のことが定められている。


 ・平均的な授業時間数や開設するべき授業内容。
 ・具体的な到達目標。
 ・語彙や文型リスト。


 日本語専攻大学生に対しては、「手紙文」「調査報告書」「説明書」「論文」などの作成能力が求められている。中でも、論文作成にかかわるものが中心である。よって、「教学大綱」における作文授業の目指すところは「論文の作成」であると言える。そして、そのために学生が養わなければならない能力は以下の四つであると定められている。


 ①文法能力
 ②正確に他人の観点を引用・評論する能力
 ③自分の文章を修正する能力
 ④資料分析能力


今回は④の資料分析能力に注目し、グループワークでグラフを用いた効果的な作文指導案を考えた。全体を四班に区分し、各班は配布された資料の中からどのグラフを使って授業をするのかを相談し、指導案を作成した。以下に各班の指導案を掲載する。

 ≪♠班の指導案≫
 使用グラフ:「各国の高校生の留学志向」

1、グラフの読み方。(5)
2、問題点を読み取らせる。(5)
3、問題点を発表させ、クラスで意見を共有する。(10)
4、(3)をもとに討論し、自分の意見を発表させる。(10)
5、自分の論点をまとめ、方向づける。(30)
 (作文の材料・構成などを記した「作文メモ」を作成させる。)
6、以上をもとに作文(論文)を書くよう指示する。(30)
 (字数は400字) 

 ≪♦班の指導案≫
 使用資料:「各国の高校生の留学志向」
 目標・目的:グラフを読み取ることが出来るようになる。

1、組別にグラフを読み取り、描写する。
2、海外派遣と受け入れ生を描写する。
3、要約を発表・板書して、グループディスカッションをする。
4、全体意見交換を行う。
 (グラフから推測しての自分の意見を発表する。)
5、作文推敲を個人で行う。
 宿題:補足の資料、自論の展開に必要な資料を探してくる。

 ≪♥班の指導案≫
 使用資料:「結婚年次別に見た、恋愛結婚・見合い結婚の構成比」

1、課題提示 
  ・グラフを示して関連資料を宿題として学生に探させる。
2、グループディスカッション 
  ・持ち寄った資料を見せ合い、グループで議論させる。
3、発表 
  ・ディスカッションの内容発表
4、教師のコメント
  ・教師による評価・コメント
  ・教師が用意した資料を説明
5、ディスカッション
  ・日中比較・背景考察・そもそもの結婚のもつ意味などを議論
6、作文 
  ・上記の中から自分の考えをまとめて作文
7、評価 
  ・内容・表現・文法を評価
8、再提出
  ・学生自身で自分の作文を書き直し、提出する。
  ・教師がそれを再評価する。

 ≪♣班の指導案≫
 使用資料:「結婚年次別に見た、恋愛結婚・見合い結婚の構成比」
 目標:グラフを読み取らせ、変化を表す表現や引用の仕方を学ぶ。
    最終的に結論をまとめる。

  1、導入(15分)
  2、グループワークでグラフの読み取り(10分)
  3、クラスで共有(5分)
  4、関連語彙の確認(15分)
  5、考察(45分)   
  ・原因・焦点を絞り、クラスで共有する。
  ・必要な資料を配布する 
  宿題:根拠となるデータを収集しまとめる。

以上

2014年第1回長春街歩きの報告

以下の内容で2014年第1回長春街歩きを行いました。

 梅雨のような天気が続く中、学期末の6月28日(土)午後、長春日本人教師会の2014年第1回街歩きを行いました。大連教師会の方々、赴日予備学校の専家団の方々等の参加もあり盛況でした。当日は日差しがありましたが、さほど暑くもなく、穏やかな街歩き日和でした。また、幸いにも雨に降られませんでした。

旧満鉄附属地「新京駅」周辺施設


今回の長春街歩きのテーマは「旧満鉄附属地の周辺施設」でした。
軌3号線長春駅前のコンビニ周辺に集合しました。
1939年発行「新京市街地図」の該当部分図を1枚ずつ配布しました。
午後2時~4時頃行いました。
ルートは、以下の通りでした。

①旧「満鉄支社」→
②旧「ヤマトホテル」→
③旧「横浜正金銀行」→
④旧「記念公会堂」→
⑤旧「南広場放送局」→
⑥旧「満鉄病院」→
⑦旧西本願寺「太子堂」→
⑦中央郵便局→
⑧旧「満鉄図書館」→
⑨旧官舎→
⑩国務院印刷所→
⑪「八島通水塔」→
⑫旧「西広場給水塔」→
⑬旧「新京神社」→
⑬旧「満鉄社員倶楽部」


 説明は及川先生が、道案内は家田先生がしてくださいました。
②旧「ヤマトホテル」のみロビーに入場しました。

参加人数:26人

以上



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