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長春日本人教師会

長春にて日本語講師をしている日本人教師による勉強会や活動予定、活動報告などを記載していくブログです。 長春日本人教師会のホームページ→http://www.geocities.jp/changchun_jpt/index.html

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第114回勉強会報告

以下の内容で勉強会を行いました。
 
「日本語授業の作り方-目標設定から授業準備、授業実践まで-」

開催日:4月18日(土)10:00-12:00
場所:東北師範大学外国人専科楼 6F会議室

 1、佐々木宏記先生(長春師範学院)
「中級作文指導に関して」
 3年生の作文指導です。新聞を作るという課題を持たせ、記事を書く中で
 「文章を書く心構 え」も含めて、
 文法や日本語の言い回しを習得できるようにと考えスター ト。
 講義と個人作業に終始することのない授業を目指していますが、
 試行錯誤、右往左往の連続。 でも、楽しみながらやっている実践です。
 
<授業の方針>
 1)「よい」作文の私的見解を明確に伝える。
  ・リアルに描く。・伝えたい内容に合っている表現。
  ・具体例が適切かつ読者をひきつけること。
 
   2)・個人指導に終始したり、講義調に偏した授業になったりしないように、
    「共同批正」を重視。
   ・「学习的时候面子不要。」「别装懂。」の精神の浸透を図る。 
   ・個人的疑問の共有化を図る。
 
    3)書いた作文を新聞にしてまとめる。(書きためた文章を要約→要約指導)
   ・記事は五つ。「私の長所」「私の将来・夢」「私はこんな人が好きだ・嫌いだ」
    「日中・中日友好のためには何が必要か」
 
    4)教科書の利用。(指導内容に偏りが生じないか留意するため。)
 

<中国人学習者の作文の問題点>

 1)紋切り型の内容が多い。ex)食べ物に関してなど
   そこで、初めに自分の経験体験をもとにして書くことを指導している。

 2)伝えたい内容が貧弱なのに表現が大げさ。
   日本語では表現と内容が連動しなければいけない。
   美辞麗句は不要で、ありのままに書くことが大事だと伝える。
 
    3)具体例を書かない学習者が多い。
   具体例も大事であることを指導する。
 
    4)メンツを気にして失敗を恐れる。
  「メンツはいらない、真理真実を追求するのが学習の場だ。」と熱を入れて話す。
   教師が熱を入れて話すと学習者も聞いてくれる。

<授業中に気をつけていること>
 
    1)授業が講義調になってしまうと、学習態度が受身になってしまう。
   主体性を大事にしなければいけない。
 
     2)学生のつまづきや疑問を重視する。
   作文を皆で一緒に直し、個人的疑問の共有化を行う。
   個人の疑問を教師が調べ、次の教材にする。→学生の満足度が上がる。
   ex)「鞄を手に持っている人」「鞄を手でもつ」でどう意味が違うのだろう。
   応用作文の文法使用を使って教える。
 

<授業においての最終目標ー新聞を作るー> 
   ・最初に日本の学生新聞「みなみ」を提示する。
   ・日本の教科書も併用して行う。
   ・携帯電話の使用も許可。先生を含め全てのものを利用していいことにする。
    ・人の文章を読ませることも大事。文章を読ませて、
   「生の姿の描き方」(自分の辛いことや人の苦しさに共感させるような生の文章が、
  人を感動させる。)や「ユーモア」(思わずニヤニヤして読んでしまう作文。)
  について指導する。
   ・作文は清書してノートにまとめさせる。
 

<質疑応答>

 Q1)今まで作文授業で失敗したことはあるか。
 A)いくらでもある。最初は難しい要求をしすぎた。
  だから、学生の作文にコピーが多く、それに怒っていた。
  しかし、今はそれも今までの作文指導の結果だと思うようになった。
  学生の作文に対する態度、疑問を丁寧に解きほぐし、ゆっくり理解させることが重要。
  教師はあせってはいけない。
  

   Q2)作文のコピーに関してどのように指導しているか。
 A)読んで、突き返している。
   下手でも自分の力で作文を書いた学習者をみんなの前で褒める。
  

   Q3)文章表現と、内容のどちらに重点をおいて指導しているか。
 A)内容より、表現技能に時間が取られる。
   学生の作文指導は繰り返し繰り返し行い。内容にも力を入れる。
 
 
Q4)学生新聞の発表方法はどうしているか。
 A)印刷して、まとめて、配布する。
   その後、学習者が読み、交流したり、評価しあったりする。
 
  
Q5)添削を何回行えば、配布するに足る作文が出来上がるか。
    何回か直したものを乗せる。

 
 2、髙城眞純先生(吉林華橋外国語学院)

「1年精読クラス 笑顔で授業!」
 先生が一番楽しんでいる授業をしています。先生が楽しいと、学生も楽しくなる。
 恥ずかしい、という気持ちをなくして…ゲームをしているような感覚にしてしまいます。
 
<授業概要>

   中国人教師とペアで担当している。
   一年生だから日本語が嫌いになってはいけないので、一学期は配慮して授業をするが、
   二学期にはびしっと指導する。
 「初級日本語」「直接法で教える日本語」
   2冊とも内容は違うが、各課の文型が同じ。
   教科書付属の絵カードを使って、文型を教えていく。
 

<授業準備>

   一年生担当の先生で毎週会議を行い進度を確認し合う。
   教案は共通のものを用い、担当の課を決めて、印刷する。
  その時に宿題プリントも作成し印刷する。
   職員室に連絡ノートがあり、
   授業が終わるたびに進度やそれぞれがやりたいことなどを書き込む 

<授業内教授活動例>
   文型PPTには絵を必ず入れる。 
・活動例
 ①地形画像を載せたPPTを使って、道案内練習などをさせる。
 ②日本語を読ませて覚えさせ、みんなで発音を直す。
  挙手の際には、あまり出来そうにない人を指名する。
  虫食い文を使って、覚えているかどうかを確認する。
  最初にわざと難しい虫食い文を提示し、
  その後、一番簡単な虫食い文を提示して心理的負担を軽減する。  
  学習者が慣れたら、簡単なのから難しいのにしていく。
    ③ガラケーとスマートフォンの違いを実物を使って説明する。
 ④「寒気がします。」「ゾクゾクします。」などをジェスチャーを使って説明する。
   ※文型ばかりではなく使える日本語も導入。
 ⑤新出単語導入時は、関連語とともに覚えさせる。豆知識も一緒に導入する。
 ⑥作文の授業時には「出だしをびっくりする言葉で書いてください。」などの指示で、
  読み手をどんどん面白くさせる方法を指導する。
  しかし、中国人学習者はその方法に違和感を感じることもあるため、
  日本語作文と中国語作文の違いを指導する必要がある。

<その他>
   ※1授業ではたくさん手を挙げて話すように指示。
   ※2確認テストがシビアで、クラスごとに順位付けがされる。
   ※3「型破りのことをするためには、型をきちんと習得しなければいけない。」
                    と指導。

 
<質疑応答>
 Q1)直接法はクラスによって、使い方にむらがあるのか。
 A)日本人教師は直接法で行う。
          中国人教師はわからなかったら中国語も交える場合もある。
   日本語を言った後、すぐ中国語を言うということを繰り返していたら、
   学習者が日本語を聞かなくなる。
   しかし、三回言って学習者がわからなかったら、中国語を使うこともある。
   それは、学生のやるきにもよる。

  
Q2)例文暗記は多いのか。
 A)5、6個ある。その際は、絵を描いて一緒に見せ、イメージ記憶として定着させる。

  
Q3)暗記をさせることが多いが、それが紋切り型の作文に学生を導くのではないか。
    暗記は効果があるのか。
 A1)たくさんの文型を暗記しているはずなのに、平時には使えていない学生が多い。
    教師の方から積極的に使う必要がある。
    また、型中心の授業からから4年生で急に内容中心の授業になる。
    初級の内容を暗記をしておけば、
             その際に内容を忘れても残るものがあるので有用。

  
A2)※別の先生
  会話ではそこまで文型を気にしなくてもいいが、作文では文法技能がもろにでる。
  会話能力と作文能力は全く別のものだ。(よく勘違いされている)
  型を並べただけではいい文章はできない。それが、現状の大学教育の欠点。

 3
、森屋美和子先生(吉林大学)
     「やる気満々で、さあ始めよう日本語会話」
       私が5年ほど日本語教師をしてきた経験の中での授業の取り組み方・考え方を交えて、
    会話授業の例を入れながらお話したいと思います。

 
<担当科目>
「会話、1年後半、2年」「作文、3年」「時事講読、3年、4年」「ビジネス日本語、3年」
「文化総論、3年」「近代文学史、4年」「学期ごとのゼミ」「卒業論文指導」 
 ※吉林大学では精読・同学年にクラス毎に違う先生が教える場合以外は、
  各担当教師に一任されている。

 
<日本語教師として心がけていること>
 ①やるからには最善を尽くす
 ②授業準備をしっかりと
 ③学生とのコミュニケーション
 ④自分も楽しく授業できるように
 ⑤健康管理

 
<会話授業で重視していること>
 「日本語(言語)の勉強は楽しい!」と思ってもらうこと。
  → これは私の会社経験から。いい仕事、いい学びにつながる。

<会話授業の構成>
・ウォーミングアップを重視「やる気」「楽しい授業の予感」
 例)大学構内の写真を使い、「この花は何?」と問いかけ、
   花の名前を導入し話のきっかけ作り。
   春の自然の中で感じるものを持って欲しいとの思いから。  
・発話の回数を多くし、自信をつけさせる。
・グループワーク 
 ブレーンストーミングからチームワーク・発想力・創造力へと。
・フィードバックは必ず行う。 
・見える授業にするため、学期初めにシラバスを学生に配布。
・授業開始時、体操を導入 → やる気、楽しさ。
 ex)「ラーメン体操」「妖怪ウォッチ」「日本語体操」
    学習者がやる気になる。リクエストも多い。
・オノマトペ学習に身体運動を使い導入。
    体と発声でオノマトペのもつイメージを植え付ける。
 ex)「くるくる」「ぐるぐる」「ぶらぶら」や 水泳のことばを学ぶ

 
<授業にメリハリをつけるための活動>
 ①時事の話題について話したり、最近の日本の流行を取り上げたりする。
 ②45秒、30秒プレゼンテーション → 身近にある製品説明、好きなスポーツの説明
 ③受業の初めに2名ずつ「月間日本語」の絵から文化について発表・質疑応答
 ④特別授業 
 ⑤シャドーイングを会話に利用
 ⑥発想、創造力をもたせる活動
例)三色ボールを使った色からの言葉の連想ゲーム。
  ボールを投げて受け取った人がその色のイメージからの言葉を出し、それを繰り返す。
  (これは認知症対策運動の一つからヒント)
 ⑦ロールプレイはグループ活動が中心で、チームワーク力が自然に身につく
       ようにする。
 ⑧ディベート、一年生後半の目標。
       最初にディベートにもっていくための反論の仕方を学ぶ
  ディベート前に、先輩のDVDを見せてディベートのイメージをもたせる。
  テーマは学生から選択させる。
 ⑨毎回、授業のはじめにする学生、先生の自己紹介は、その都度の状況に合わせた
  工夫が必要だと考える。それが先生としての醍醐味であると思う。

 
 Q1)楽しい授業をどのようにして学生に予感させるか。
 A)授業の開始が大切だと私は思っている。学生に今日の授業は楽しいなという
   ことを予感させる。それは学生のやる気にもつながると思う。
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