長春日本人教師会
長春にて日本語講師をしている日本人教師による勉強会や活動予定、活動報告などを記載していくブログです。 長春日本人教師会のホームページ→http://www.geocities.jp/changchun_jpt/index.html
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第105回 勉強会報告
下記の内容で、勉強会を行いました。
1、司会挨拶、新会長(東北師範大学中国赴日本国留学生予備学校、
岩崎拓也先生)挨拶、参加者自己紹介
2、小菅修一先生(吉林華橋外国語学院)
「吉林華橋外国語学院・日本語学部におけるスピーチクラブの活動」
吉林華橋外国語学院・日本語学部におけるスピーチクラブの
目標、構成メンバー、毎週の活動の内容、学生を指導する
上での問題点等を発表していただいた。
目標:育英杯及び中華杯で優秀な成績を獲得すること。
構成メンバー:10~15名程度の日本語学部生
活動時間:活動は週一回90分。
活動内容:朗読の練習、スピーチ用作文(1000字程度)の
作成練習、作成した作文を使ってのスピーチ
練習、日本に関する知識の習得、即席スピーチの
練習、学生間の相互評価など。
活動の一学期と二学期への配分:一年生一学期は、
朗読、作文作成の基本的な指導が中心。
二年生一学期は、朗読、作文作成の基本的な指導、日本に
関する知識の習得、即席スピーチの練習。
二学期は一・二年生共通で、スピーチ作文作成や、作成した
作文のスピーチの練習が中心。
あわせて、日本に関する知識の習得や即席スピーチの練習も行う。
今後の問題点:
1、大会がなかなか開催されないことによる学生の意欲の減衰。
2、作文作成に当たっての想像力不足。
3、スピーチコンテストで求められる主体性・総合力の向上方法。
4、週一回90分という限られた活動による時間的制約。
※発表後質疑応答
質問1:「練習の際の即席スピーチのテーマは、どのように
決めるのか。」
返答:「過去の大会のデータを集めそれを元に100前後の
テーマを作り、その中から学生に示す。」
質問2:「青空文庫から朗読教材を選ばれているということだが、
選択に基準はあるのか。また、青空文庫以外からも
選ぶことはあるのか。」
返答:「青空文庫から選ぶ際は、できるだけ日本語の新しい
ものを選んでいる。青空文庫以外から選ぶ際は、詩や
国語の教科書から選び自分で音声を当てている。
(青空文庫には音声化された作品が多くあり、青空文庫から
教材を選ぶ際、小菅先生はそれらを使われている。)」
3、髙城眞純先生(吉林華橋外国語学院)
「スピーチ指導、特に発音・表現指導について」
体操・発音練習で身体と発声の基本を作り、朗読を通じて
表現力をつけ、綺麗な日本語で、表現豊かなスピーチが
できる方法など、正しい発音とさまざまな表現力を楽しく
身につけることを目標としたスピーチ指導の方法を
ワークショップ形式で発表していただいた。
1:準備体操
スピーチの練習をする前には必ず準備体操を行う。
準備体操は気功体操、爪先立ち歩行をしながらの50音の
発声、腹式呼吸の練習、発声練習など。
発声練習は「 a i a u 」などを一音や二音ずつ区切って
読んだり、全部を一気に読んだりなど、区切る箇所を変えたり、
区切らなかったりして発声する。これにより学習者は言葉の
リズムを体感でき、スピーチのリズム感が良くなる。発声練習は
「かこ かっこ かぁこ かこお かっこお」や早口言葉などでも
同様に行う。
2、スピーチ指導の方法
スピーチ指導では滑舌、モーラ、アクセント、アーティキュレーションの
練習や、声色を変えたり音量を変えたり場面を想像したりしながら
発声する練習などを行う。
これらの練習は下記のサイトの「抑揚の練習」の項目にある
「ま」という文章を用いたり、イソップ童話「北風と太陽」のような
童話などを用いて行われる。
例)北風が太陽に言いました。①
「太陽くん、ぼくときみと、どっちが強いと思う。」②
太陽が答えました。①
「さあ、どっちだろうね。」③
童話「北風と太陽」を用いた朗読の練習では、最初に学生に
①のナレーションの部分を読ませ、声の高さを決めさせた後、
それを元に、②北風の声を子供の声で雰囲気を大きく変えて
発声させる。
その箇所を何回も繰り返し練習させた後、各々の太陽の
イメージに合った太陽の声を考えさせ、③を発声させる。
「声優・俳優・アナウンサーを目指す人におくる滑舌と抑揚の練習帳」http://katuzetu.sakura.ne.jp/index.html
※発表後質疑応答
質問1:「『あいうえお』を一気に読むときの抑揚を教えるのが難しい。」
返答:「手で弧を描くように教えると良い。」
質問2:「学生が発音指導する時の教師を真似するあまり
不自然なほどに口の動きを大きくして日本語を話す
習慣がついてしまいやすい。」
返答:「最初に普通に話しているときの教師の口の動きを
学生に確認させて気づきを促した後、奥歯を合わせた
まま日本語を発声させてみるなどの方法で矯正したり、
発音がきれいにできるようになった人には口の動きを
小さくして話す練習を促したりすると良い。」
質問3:「歌が不得意で腹式呼吸などができない教師は
どうやって指導すればいいか。」
返答:「毎朝腹筋や発音練習をするなど、教師の側にも
継続的な努力が必要。1~2週間で教師の腹式呼吸や
発声は改善することが可能。」
4、森屋美和子先生(吉林大学)
「最近のスピーチ大会の傾向について」
2011年から日本語教師としてスピーチ指導に携わって
こられ、長春、天津、上海、東京で行われた日本語
スピーチ大会本選などへも選手を引率された森屋先生の
経験をもとに、今、求められているスピーチの傾向について、
発表していただいた。
森屋先生が感じられている最近の傾向と今後学生に
求められるであろう要素、大会において重要なことを以下に記す。
① 日本語力のある学生が多くなっている。(傾向)
⇒ 今後は日本の知識の豊富さもいっそう求められる。
② よりコミュニカティブになって来て、聞き手とスピーカーが
より近づいている。(傾向)
③ 型にはめられた画一的なものから変化している。
スピーカーの話し方もより自然になってきている。(傾向)
④ 幅をもたせた自由さのあるテーマが多くなってきている。(傾向)
⇒ 今後は発想力・思考力や自分の意見を持つことなどがより
求められる。
⑤ 討論・質疑応答形式のスピーチ大会が多くなってきている。(傾向)
⇒ 今後は幅広い知識と自分の意見をもつことがいっそう
求められる。
⑥ スピーチとプレゼンテーションとは違いがあるが、最近の大会
でのスピーチはよりプレゼンテーションに近づいているように
感じる。(傾向)
⑦ 指導教員や学生がスピーチの審査基準の把握をし、
それを踏まえて練習することが重要である。
⑧ テーマはスピーカー・聞き手双方に影響を与える。
⇒ 大会でどのようなテーマが出されるかはとても重要である。
発表中に以下のホームページが紹介された。入賞者の
スピーチ映像を観賞することができる。
「第8回『全中国選抜 日本語スピーチコンテスト』」
http://www.nikkei.co.jp/cjsp/index.html
※発表後質疑応答
質問:「自ら考える力を持った学生がスピーチ大会で上位に
行くように思う。これからは学生に思考力をつけさせる授業が
必要なのではないか。」
返答:「第八回の『全中国選抜 日本語スピーチコンテスト』では
自主性を大切にしてある程度学生本人に任せてみたところ
上位に入賞することができた。文章やスピーチを直しすぎると
学生個々人の個性がなくなってしまうのではないかと感じた。
学生を大事にすれば学生はそれに答えてくれるが、圧力を
かけすぎれば学生は萎縮し小さくなってしまうようだ。」
5、事務連絡、今後の予定、アンケート回収、会費・参加費の徴収など
参加人数:26人
以上
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